シンプラル法律事務所
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個人再生(民事再生)の論点整理

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

個人民事再生一般
5000万円要件 無担保の再生債権総額が5000万円を超えないことが必要。(法221@)
←負債額が多い場合は、再生計画認可による債権の免除額が高額となり、債権者に与える不利益が大きいので、簡素化した手続の利用を認めることは相当ではない。
5000万円を超えるかどうかが問題とされるのは、無担保債権であり、別除権行使により弁済を受けると見込まれる再生債権の額、住宅資金貸付債権の額、民事再生手続開始前の罰金等は、上記5000万円の算定から除外される。
←これらの債権は、債務者の弁済原資を他の債権者と分け合う関係にない。
再生手続開始原因 規定 民事再生法 第21条(再生手続開始の申立て) 
債務者に破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるときは、債務者は、裁判所に対し、再生手続開始の申立てをすることができる。債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときも、同様とする。
破産法 第15条(破産手続開始の原因) 
債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。
破産法 第16条(法人の破産手続開始の原因)
債務者が法人である場合に関する前条第一項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。
再生手続開始の条件 規定 第25条(再生手続開始の条件)
次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
一 再生手続の費用の予納がないとき。
二 裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
三 再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき
四 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
説明 3号
手続き開始の段階から再成計画成立の見込みがないことが明らかであるにもかかわらず、再生手続を開始することは、いたずらに破綻を先延ばしし、債権者その他の利害関係人に不利益を生じさせるもの。
手続開始の段階において再生の見込みの有無という実体判断を裁判所に行わせることが合理的ではなく、ひいては、手続開始そのものに消極的になるおそれがあることを考慮して、再生計画案作成の見込みという手続的判断に代えた。
裁判所がこれを理由として開始申立てを棄却するのは、作成等の見込みがないことが明らかな場合に限られる。

手続開始申立書の記載や申立書の添付書面等の資料から、たとえ手続をl開始しても合理的基礎に基づいた再生計画案作成等の見込みが存在しないことが明らかな場合にのみ、開始申立てが棄却される。
他の手続との関係 訴訟 訴訟係属中に手続開始決定:訴訟手続きは中断しない。
(法238条、245条により、法40条1項は適用除外)
開始決定⇒強制執行は禁止⇒応訴する必要はないとの考えも。
but
判決が言い渡されると、個人再生手続の中で債務者がその再生債権に異議を述べるためには、自ら評価申立てをしなければならない(法227@)。
⇒債権の存否又は額に争いがある場合には、応訴して訴訟追行すべき。
強制執行 開始決定⇒中止
再生計画認可決定の確定⇒効力を失う
法 第39条(他の手続の中止等)
再生手続開始の決定があったときは、破産手続開始、再生手続開始若しくは特別清算開始の申立て、再生債務者の財産に対する再生債権に基づく強制執行等又は再生債権に基づく財産開示手続の申立てはすることができず、破産手続、再生債務者の財産に対して既にされている再生債権に基づく強制執行等の手続及び再生債権に基づく財産開示手続は中止し、特別清算手続はその効力を失う。
法 第184条(中止した手続の失効)
再生計画認可の決定が確定したときは、第三十九条第一項の規定により中止した手続は、その効力を失う。ただし、同条第二項の規定により続行された手続については、この限りでない。
共益債権と再生債権 共益債権:破産手続における財団債権に対応する概念であり、基本的には、再生手続を遂行し、その目的を(民再法1条)を実現するために再生債権者が共同で負担しなければならない費用としての性質を有する。
再生債権:再生手続開始決定前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(法84@)
共益債権:原則として手続開始後に生じた原因に基づく請求権
手続開始後に生じた債権でも、再生債権とされるもの。
・双方未履行の双務契約を再生債務者が解除した場合の相手方の損害賠償請求権
(法49@、破産法54@)
・再生手続開始後の利息等(法84A)
手続開始前の原因に基づいて生じた請求権であっても、共益債権とされるもの。
・双方未履行の双務契約において再生債務者が履行を選択した場合における相手方の請求権(法49C)
・継続的給付の義務を負う双務契約の相手方の手続開始申立後開始前の給付にかかる請求権(法50A)
再生債権は、届出・調査・確定のプロセスを経たうえで再生計画により権利変更され、再生計画に定められた弁済条件にしたがって弁済がされる。
共益債権は、再生手続によらずに随時弁済され(法121@)、再生債権に先立って弁済される。(法121A)
共益債権(法119条) 一般の共益債権  一 再生債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権
二 再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権
「再生債務者の業務」とは、事業者を想定したものであり、原材料の購入、従業員の給与等、事業施設の維持費等の一切の費用が共益債権になる。
(あくまで、再生手続開始後の業務にもとづいて発生するものでなければならない)
「生活」とは、非事業者たる個人を想定したものであり、電気・ガス・水道料や家賃はもちろん、生活に要する一切の費用が共益債権となる。
財産の管理および処分に関する費用は、事業者または非事業者を問わず、所有建物の維持管理費や処分費用を含む。
三 再生計画の遂行に関する費用の請求権(再生手続終了後に生じたものを除く。)
四 第六十一条第一項(第六十三条、第七十八条及び第八十三条第一項において準用する場合を含む。)、第九十条の二第五項、第九十一条第一項、第百十二条、第百十七条第四項及び第二百二十三条第九項(第二百四十四条において準用する場合を含む。)の規定により支払うべき費用、報酬及び報償金の請求権
●  五 再生債務者財産に関し再生債務者等が再生手続開始後にした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権
2号の請求権と重複することが多いが、業務上の遂行に不可欠な借入れなどに基づく請求権の地位を明らかにするために、特別の規定を設けたもの。
典型例は、いわゆるDIPファイナンス。
取引によって生じたものに限らず、再生債務者等の行為であれば、不法行為にもとづく相手方の損害賠償請求権なども、本号の共益債権に該当。
六 事務管理又は不当利得により再生手続開始後に再生債務者に対して生じた請求権
七 再生債務者のために支出すべきやむを得ない費用の請求権で、再生手続開始後に生じたもの(前各号に掲げるものを除く。)
管理命令が発せられている場合における、法人の組織法上の活動、たとえば株主総会の開催費用等。
特別の共益債権  ■相手方との公平の見地から共益債権とされたもの
双方未履行双務契約について再生債務者等が履行を選択した場合の相手方の請求権(法49C)、再生債務者などが解除の選択をした場合の相手方の反対給付または価額返還請求権(同5、破産法54A)
継続的給付を目的とする双務契約において相手方が再生手続開始申立て後再生手続開始前にした給付に係る請求権(法50A)
第三者対抗要件が供えられた賃貸借契約等について賃貸人等が有する請求権(法51、破産法56A)
再生債務者が再生手続申立て後、裁判所の許可をえて、再生手続開始前に資金の借入れや原材料の購入等、事業の継続に不可欠な行為をしたことによって生じる相手方の請求権(法120B)
保全管理人が同様の行為をしたことによって生じる相手方の請求権(同C)
否認権行使の結果として生じる相手方の再生債務者に対する反対給付または価額召喚請求権等(法132の2@(2)、A(1)(3))
■再生債権者が共同で負担すべき費用としての性質から共益債権とされたもの
財団債権化 先行する再生手続もしくは更生手続が挫折し、牽連破産に移行、又は中止されていた破産手続が続行
⇒共益債権は財団債権として取り扱われる。
再生法 第252条(再生手続の終了に伴う破産手続における破産法の適用関係)
6 前項に規定する破産手続開始の決定があった場合には、共益債権(再生手続が開始されなかった場合における第五十条第二項並びに第百二十条第一項及び第四項に規定する請求権を含む。)は、財団債権とする。破産手続開始後の再生債務者について再生手続開始の申立ての棄却、第百九十一条から第百九十三条まで、第二百三十七条及び第二百四十三条の規定による再生計画認可の決定の確定前の再生手続廃止又は再生計画不認可の決定の確定によって破産手続が続行された場合も、同様とする。
一般優先債権 規定 第122条(一般優先債権)
一般の先取特権その他一般の優先権がある債権(共益債権であるものを除く。)は、一般優先債権とする。
2 一般優先債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。
3 優先権が一定の期間内の債権額につき存在する場合には、その期間は、再生手続開始の時からさかのぼって計算する。
4 前条第三項から第六項までの規定は、一般優先債権に基づく強制執行若しくは仮差押え又は一般優先債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行について準用する。
説明 一般の先取特権その他一般の優先権がある債権は、それが共益債権である場合を除いて、一般優先債権とされ(法122@)、再生手続によらず、随時弁済する(同A)。
一般の優先権のある債権は、再生債務者財産全体をその引き当てにしている点で、再生債権と同質のものであり、破産手続や更生手続では、優先的破産債権や優先的更生債権として、手続きに参加する。(破産法98@、会社更生168@(2))
but
再生手続においては、一般優先債権が、手続外で、その本来の弁済期にしたがって弁済を受ける。
←組分けによる決議の必要性が生じることによる手続の複雑化を避けるため。
ex.
労働債権(民法306A、308)
租税債権(国徴8)
その発生は、再生手続開始の前後を問わない。
一般優先債権者は、再生債務者等からの任意弁済を受けうるだけでなく、強制執行もしくは仮差押えまたは一般の先取特権に基づく担保権の実行をすることも許される。
非免責政権の取扱い
(はい6民です87(2005.2))
非免責債権
(法229B)
@再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
A再生債務者が故意又は重過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
B再生債務者の扶養義務等に係る請求権

@の「悪意」は、単なる故意(民法709条)ではなく、積極的な害意を意味する。
取扱い @再生手続内では、個別権利行使は禁止され、
A債権確定の手続も、他の再生債権と同様の手続で行われ、
B破産手続の配当に相当する一般弁済期間内における弁済についても、他の再生債権と同様の割合において弁済を受けうるにとどまるが、
C一般弁済期間の経過後も、残額については免責されず、その後も権利行使が可能である
非免責債権かどうかの確定 個人再生手続内確定の対象ではない。
当該債権が非免責債権か否かは、その債権の性質から当然に決まることとなり、その点に争いがある場合には、訴訟等により確定すべき問題。
再生計画案 非免責債権については、再生計画において、権利の減免の定めその他権利に影響を及ぼす定めをすることはできない。(法229B)
その代わりに、法律上当然に、再生計画において定められた一般基準に従って弁済を行い、再生計画で定められた弁済期間が満了するときに、その債権額から弁済期間内に弁済した額を控除した残額について弁済をする。(法232CD)

再生計画においては、非免責債権の有無にかかわらず、権利変更の一般的基準だけを定めることにになり、非免責債権に関する条項が個別に定められることはない。
弁済計画表 弁済計画表には、非免責債権についても、一般弁済期間内における弁済の内容を記載する。(規則130条の2)
(一般債権と同じ)
再生債権の評価 評価の申立 規定 民事再生法 第227条(再生債権の評価)
前条第一項本文又は第三項の規定により再生債務者又は届出再生債権者が異議を述べた場合には、当該再生債権を有する再生債権者は、裁判所に対し、異議申述期間の末日から三週間の不変期間内に、再生債権の評価の申立てをすることができる。ただし、当該再生債権が執行力ある債務名義又は終局判決のあるものである場合には、当該異議を述べた者が当該申立てをしなければならない。
2 前項ただし書の場合において、前項本文の不変期間内に再生債権の評価の申立てがなかったとき又は当該申立てが却下されたときは、前条第一項本文又は第三項の異議は、なかったものとみなす。
3 再生債権の評価の申立てをするときは、申立人は、その申立てに係る手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。
4 前項に規定する費用の予納がないときは、裁判所は、再生債権の評価の申立てを却下しなければならない。
「模範六法 2014」 (C)2014 Sanseido Co.,Ltd.
  異議⇒異議を述べた者を相手方として再生債権の評価の申立て。 
異議の述べられた再生債権について執行力のある債務名義又は終局判決⇒異議を述べた者が再生債権の評価の申立て(法227条1項)。
再生債権の評価の申立てに当たっては、手続の費用を裁判所に予納する必要(3項)。
予納なし⇒申立て却下(4項)
無届債権 規定 第232条(再生計画の効力等)
小規模個人再生において再生計画認可の決定が確定したときは、第八十七条第一項第一号から第三号までに掲げる債権は、それぞれ当該各号に定める金額の再生債権に変更される。
2 小規模個人再生において再生計画認可の決定が確定したときは、すべての再生債権者の権利(第八十七条第一項第一号から第三号までに掲げる債権については前項の規定により変更された後の権利とし、第二百二十九条第三項各号に掲げる請求権及び再生手続開始前の罰金等を除く。)は、第百五十六条の一般的基準に従い、変更される。
3 前項に規定する場合における同項の規定により変更された再生債権であって無異議債権及び評価済債権以外のものについては、再生計画で定められた弁済期間が満了する時(その期間の満了前に、再生計画に基づく弁済が完了した場合又は再生計画が取り消された場合にあっては弁済が完了した時又は再生計画が取り消された時。次項及び第五項において同じ。)までの間は、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。ただし、当該変更に係る再生債権が、再生債権者がその責めに帰することができない事由により債権届出期間内に届出をすることができず、かつ、その事由が第二百三十条第三項に規定する決定前に消滅しなかったもの又は再生債権の評価の対象となったものであるときは、この限りでない。
債権届出がなされておらず、しかも債権者一覧表にも記載されていないため、債権を届け出たものともみなされない再生債権
個人再生 再生債権の認可決定の確定⇒無届債権を含むすべての再生債権者の権利は、再生計画に定められた一般的基準に従って変更される。(法232条1項、244条) 
←個人再生手続では債権の実体的確定を行わないため、失権といった強力な効力を付与するのは妥当でない。
手続内で確定し無かったことについて債権者に帰責事由がある再生債権は、再生計画で定められた弁済期間が満了する時までの間は弁済等を受けることができないという劣後的な取扱いを受ける(法232条3項、244条)
←再生債務者が弁済期間内に弁済すべき金額が予想外に増加して、再生計画の遂行ができなくなり、ひいては真面目に手続に参加して債権調査を経た債権者に不利益が生じることを避ける。
再生債権者の責めに帰することができない事由によって届出ができず、付議決定までにその事由が消滅しなかった再生債権者は、劣後的な取扱いを受けない。(法232条3項但書、244条)

債権調査で確定した再生債権同様再生計画に定める弁済期間内に弁済を受けることができる。
通常の再生手続 債権調査確定手続によって実体的に確定した再生債権以外は、原則として失権する。(法178条) 
養育費の取扱い まとめ 養育費は要扶養状態の継続によって日々発生する権利であり、再生手続開始前に弁済期が到来した過去の養育費請求権は再生債権(非免責債権)に該当するが、再生手続開始後の養育費請求権は再生債権に該当せず、共益債権として手続外で随時弁済する。
未払の養育費請求権 債権者の同意がない限り、再生計画において債務の減免その他権利に影響を及ぼすことができない。
⇒再生計画が認可されても債務は減免されず(民再232A括弧書)、ハードシップ免責が認められた場合も免責の対象とならない(民再235E)。
非減免債権のうち債権調査手続で確定した債権については、再生計画に定められた弁済期間中、再生計画に定められた一般的基準に従って弁済することで足り、弁済期間満了時に残額を支払うことになる(民再232C)。
再生計画においては、非減免債権の有無に関係なく、権利変更の一般的基準のみを定めることになり、非減免債権に関する条項が個別に定められることはない。
弁済計画表にも、非減免債権について一般弁済期間内における弁済の内容を記載することになる(民再規則130の2)。
非減免債権のうち、債権調査手続で確定しなかった債権については、劣後化し(民再232B)、再生計画で定められた弁済期間満了時に全額を弁済することになる(民再232D)。
⇒支払原資を確保するなどの対策が必要。
将来の養育費請求権 要扶養状態が存在することによって日々発生する債権であり、共益債権と解される(民再119二、七)。
⇒再生手続に拘束されることなく、随時弁済することが必要。
家計表等に記載し、その支払を前提として、再生計画案を策定することが必要。
求償義務者の再生 数人の全部義務者の全員又は一部の者について再生手続が開始されると、再生債権者となるのは、本来の債権者だけではなく、全部義務者相互間でも、将来行うことがある求償権全額について再生債権者としての権利を行使することができる。(民再86A破産法104B本文)
債権者が再生手続開始の時において有する債権の全額について再生債権を行使したときは、実質的に1つの債権の二重行使を避けるために、求償権者の再生債権行使は許されない。(民再86A、破産法104B但書)
求償権者が再生手続開始後に債権者に対して弁済等をしたときは、その債権の全額が消滅した場合に限り、求償権者は、その求償権の範囲内において、債権者の権利を再生債権者として行使することができる。(民再86A、破産法104C)
手続は、再生債権の届出名義の変更による。(民再96)
求償権者の再生債権行使に関する規定は、物上保証人の求償権行使にも準用される。(民再86A、破産法104D)
否認権 個人再生では、第6章2節(否認権)についての規定の適用が除外されている。(法238条、245条)
but否認対象行為によって減少した財産相当分は、清算価値に上乗せすべき。
(再生物語p187)
相続放棄 相続放棄は、再生開始決定の前後を問わず可能。 
仮に破産手続き開始前になされた相続放棄が破産債権者の利益を害する場合であっても、否認の対象とはならない。(実務Q50)
最高裁昭和49.9.20:
相続放棄のような身分行為については、詐害行為取消権行使の対象とはならない。

@取消権の対象となる行為は積極的に債務者の財産を減少させる行為であることを要し、消極的kにその増加を妨げるにすぎないものを包含しないと解すべきところ、相続放棄は消極的に財産増加を妨げる行為にすぎない。
A相続放棄のような身分行為については他人の意思によってこれを強制すべきでない。
仮登記担保と倒産手続 規定  第19条(破産手続等における担保仮登記)
破産財団に属する土地等についてされている担保仮登記(第十四条の担保仮登記を除く。第三項及び第四項において同じ。)の権利者については、破産法(平成十六年法律第七十五号)中破産財団に属する財産につき抵当権を有する者に関する規定を適用する。
2 破産財団に属しない破産者の土地等についてされている担保仮登記の権利者については、破産法中同法第百八条第二項に規定する抵当権を有する者に関する規定を準用する。
3 再生債務者の土地等についてされている担保仮登記の権利者については、民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)中抵当権を有する者に関する規定を適用する。
4 担保仮登記に係る権利は、会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成八年法律第九十五号)の適用に関しては、抵当権とみなす。
5 第十四条の担保仮登記は、破産手続、再生手続及び更生手続においては、その効力を有しない。
第14条(根担保仮登記の効力)
仮登記担保契約で、消滅すべき金銭債務がその契約の時に特定されていないものに基づく担保仮登記は、強制競売等においては、その効力を有しない。
 説明 土地等についてされている担保仮登記の権利者については、破産法・民事再生法・会社更生法中、抵当権を有する者に関する規定を適用。(仮登記担保法19@〜C)
第14条の担保仮登記は、破産手続、再生手続及び更生手続においては、その効力を有しない。(法19D)
仮登記担保契約で、消滅すべき金銭債務がその契約の時に特定されていないものに基づく担保仮登記は、強制競売等においてその効力を有しない(法14)。
←根抵当権と異なり、被担保債権の範囲を公示できないから、事実上、包括根担保を認めることになり妥当でない。
会社からの借入れの取扱い 給与・退職金の特殊性  給料、退職金については、賃金全額払いの原則(労基法24@)
使用者による賃金債権との「相殺」も「控除」の一種として禁止。(最高裁昭和36年5月31日判決)

@労使間の書面による賃金控除協定がある場合は、給料の天引き・相殺も有効。(労基法24@但書)
A合意による相殺が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、右同意を得てした相殺は全額払原則に反しない。(最高裁平成2年1月26日判決)

@Aの場合には、会社からの貸付金を賃金や退職金からの天引きや相殺で処理することは可能。
給料天引 会社からの借入金も再生債権(法84@)
→再生手続開始後は、法律に特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらない弁済は禁止(法85@)
→会社に対して給料天引きを停止するよう申し出をする必要。
別除権付債権となるか  退職時に退職金と貸付金を相殺する旨の相殺予約がある場合、通常は退職時に労使協定に基づく約款又は合意による相殺が行われる。
破産手続きでは、この合意による相殺は否認できない(最高裁平成2年1月26日判決)。
but
民事再生の場合、相殺できる場合を限定。(法92、93)
→相殺予約を非典型担保の別除権付債権として取り扱うのは困難。

退職金請求権に社内融資のための質権が設定されている場合は、別除権付債権となる。
退職金評価の問題 会社が相殺権を行使できる場合には、その行使を否認できない(破産の場合)。
→清算価値保障原則との関係では、相殺後の退職金見込み額の8分の1を前提とした価値で評価する。
買掛金 開始決定前の弁済 弁済可 開始決定前には、民事再生法85条1項のような弁済そのものを禁止する規定なし。
民事再生法 第85条(再生債権の弁済の禁止)
再生債権については、再生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。.
否認もなし 個人再生手続においては、手続の簡易迅速のため否認権の規定が適用除外。
(法238条(小規模個人再生)、法245条(給与所得者個人再生)が、通常再生手続について否認権を認めた民事再生法第6章第2節の規定を適用除外に)
他の債権者による詐害行為取消権の行使は可能。
取扱い 否認権回避目的での申立て⇒「不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき」(法25)に該当し、棄却される可能性。
第25条(再生手続開始の条件)
次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
四 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
清算価値保障原則⇒破産した場合に否認権の対象となるべき偏頗弁済の額を、認可決定時の清算価値に上乗せすべきことになる。
(個人再生委員が選任される可能性。)
開始決定後の弁済 開始決定前の買掛金 開始決定前の買掛金(発生原因が開始決定前)⇒共益債権化の許可を得ていた場合を除き、再生債権。(法84@)⇒開始決定後は原則として再生計画の定めるところによらなければ弁済できない(民再85@)
(1)再生債務者を主要な取引先とする中小企業が、その有する再生債権の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるとき(法85A)
(2)少額の再生債権を早期に弁済することにより再生手続を円滑に進行することができるとき(法85D前段)
(3)少額の再生債権を早期に弁済しなければ再生債務者の事業の継続に著しい支障をきたすとき(法85D後段)
には裁判所の許可を得て弁済可。
(3)の判断要素としては、@弁済の対象となる債権の額、A再生債務者の資産総額、B再生債務者の業務の規模、C弁済の必要性などがあげられ、このような判断要素を考慮して総体的に判断される。

(3)の具体例は、原材料の供給業者が限られている場合、廃棄物処理について代替できる業者がいない場合、一定の地域内のう運送業者が限られている場合等。
第85条(再生債権の弁済の禁止)
再生債権については、再生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。
2 再生債務者を主要な取引先とする中小企業者が、その有する再生債権の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができる。
5 少額の再生債権を早期に弁済することにより再生手続を円滑に進行することができるとき、又は少額の再生債権を早期に弁済しなければ再生債務者の事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。
申立て後開始決定前の 申立て後開始決定までの間に、自営業者が原材料の購入等をなす場合、それが「再生債務者の事業の継続に欠くことができない」(法120@)といえるのであれば、裁判所の許可を得て、共益債権とすることができる。
この許可を得ていれば、開始決定後であっても、他の再生債権に先立って、再生手続によらないで随時弁済することができる。(法121AB)

再生手続開始の申立て後も、事業を中断することなく継続するには、資金の借入れや原材料の購入、従業員の給与支払などを行う必要があるが、これら再生債務者の事業の継続のために不可欠な行為により発生した費用について、再生手続開始前の原因による請求権であることを理由に、支払を止めるとすれば、取引の継続は事実上不可能となり、かえって、再生債務者の事業の継続に支障が生じる。
法 第120条(開始前の借入金等)
再生債務者(保全管理人が選任されている場合を除く。以下この項及び第三項において同じ。)が、再生手続開始の申立て後再生手続開始前に、資金の借入れ、原材料の購入その他再生債務者の事業の継続に欠くことができない行為をする場合には、裁判所は、その行為によって生ずべき相手方の請求権を共益債権とする旨の許可をすることができる。

法 第121条(共益債権の取扱い)
共益債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。
2 共益債権は、再生債権に先立って、弁済する。
3 共益債権に基づき再生債務者の財産に対し強制執行又は仮差押えがされている場合において、その強制執行又は仮差押えが再生に著しい支障を及ぼし、かつ、再生債務者が他に換価の容易な財産を十分に有するときは、裁判所は、再生手続開始後において、再生債務者等の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、その強制執行又は仮差押えの中止又は取消しを命ずることができる。
開始決定後 開始決定後に発生した買掛金については、「再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理および処分に関する費用の請求権」(民再119(2))として、共益債権に該当し、再生債権に先立って、再生手続によらないで随時弁済することができる。
第119条(共益債権となる請求権) 
次に掲げる請求権は、共益債権とする。
二 再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権.
再生手続前の罰金等  「再生手続開始前の罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金又は過料(共益債権又は一般優先債権であるものを除く。以下「再生手続開始前の罰金等」という。)については、国又は地方公共団体は、遅滞なく、その額及び原因を裁判所に届け出なければならない。」
(法97条)

再生手続き開始前の罰金等:再生債権
再生手続き開始後の罰金等:共益債権

but特別な扱い
@債権調査手続等の対象とならず、不服がある場合、審査請求等の不服申立手続による。(法113条)
A債権者集会における議決権がない(法87条A)
B再生計画認可決定が確定したときでも免責されず(法178但書)、届出を欠いても失権しない。
C再生計画において、減免その他権利に影響を及ばす定めをすることができない(法155C)。
再生債務者が再生手続開始前の罰金等につき、その徴収の権限を有する者に対してした担保の供与または債務の消滅に関する行為は否認できない。(法128B)
D再生計画認可決定確定後は、再生計画で定められた弁済期間が満了するときまでの間は、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為をすることができない(法181A)。
弁済期間中は延滞金等は発生しないと解すべき。


罰金・科料は刑事手続を経て科されたもので、恩赦によってのみ免除できるものであり、刑事訴訟費用も刑事訴訟法に定める場合にのみ執行が免除できるもので、追徴金・過料もこれらに準じるものであり、私法上の倒産手続において多数決原理により減免等の権利の変更を及ぼすことは相当ではない。
弁済協定と共益債権化 リース料債権の性質 ファイナンス・リース契約のリース料債権は別除権付再生債権として取り扱う。
ファイナンス・リース契約のリース料債権は全額が更生債権となる。(最高裁H7.4.14)
別除権付再生債権の取扱い 別除権者は再生手続によらないで権利行使が可能。(法53A)

別除権者は、別除権を行使して、リース物件の引上げ又は競売申立てをしてくることになり、当該物件が事業に不可欠なものであれば、事業継続が困難。
引揚げ回避の方法 弁性協定 再生手続開始後、リース会社との間で、残リース料の支払について弁済協定を締結。
事業継続に必要不可欠でないリース物件に関する弁済協定を締結してその支払をすることは、弁済禁止(法85@)に違反し、後々、再生計画の不認可自由となる可能性がある。(法231@、174A(1))
自動車のリース契約の場合、当該自動車そのものを事業に供しているような場合、すなわち、個人タクシー事業者や個人運送業者などはその必要性が認められるが、単に通勤に使用するための自動車という程度は必要性は認められない。
共益債権化 弁済協定が締結された場合、同協定に基づく債権は、
再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権」(法119(2))又は
「再生債務者財産に関し再生債務者等が再生手続開始後にした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権」(法119(5))
として共益債権となり、随時弁済が可能となる。(法121@、122A)
協定条項の注意点 万一牽連破産手続に移行した場合に備え、弁済協定の中に、牽連破産に移行した場合には弁済協定が無効となる旨定めておけば、牽連破産手続において別除権付破産債権として取り扱うことが可能。
再生計画案での記載 ○○電機クレジット株式会社のリース債権について、平成○年12月8日締結の弁済協定により、平成○年1月から同年○年12月まで、毎月末日限り、1万円ずつ、合計○万円を支払う。
別除権  規定 第53条(別除権)
再生手続開始の時において再生債務者の財産につき存する担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法若しくは会社法の規定による留置権をいう。第三項において同じ。)を有する者は、その目的である財産について、別除権を有する。
2 別除権は、再生手続によらないで、行使することができる。
3 担保権の目的である財産が再生債務者等による任意売却その他の事由により再生債務者財産に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。
説明    再生手続開始の時において再生債務者財産について、特別の先取特権、質権、抵当権または商法もしくは会社法の規定による留置権(商事留置権)を有する者は、その目的である財産についうて別除権を有する。(民事再生法53@)
別除権は、再生手続によらないで行使することができる。(同条A)
担保権の目的である財産が、再生債務者等による任意売却などの事由によって再生債務者財産に属しないこととなった場合でも、当該担保権が存続する限り、担保権者は別除権を有する。(同条B)
  ■別除権の基礎
●商事留置権 
代理商の留置権(商法31条)、商人間の留置権(521条)、問屋の留置権(557条)、運送取扱人の留置権(562条)、運送人の留置権(589条)、代理商の留置権(会社法20条)
●所有権留保 
仮登記担保以外の非典型担保が別除権として取り扱われるか否かは、解釈に委ねられている。
所有権留保を一種の担保権と解して、別除権として扱うべき。

所有権留保が売買代金の担保を目的として契約締結がなされ、代金担保としての機能を果たしていることを直視し、所有権留保は売主の担保であると解されている。
●民事留置権 
民法 第295条(留置権の内容) 
他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。
再生手続が開始しても、その留置的効力は残る。
留置権の特徴は、優先弁済的効力がなく、自らは優先弁済の実現手段たる担保権実行ができない(ただし、換価のための競売権はある)が、、留置的効力によって、他の者からの権利実行に対しては事実上優先順位で優先弁済を受けられる。

民事留置権と商事留置権に共通。
別除権ではない⇒
再生手続開始後は、民事留置権に基づく競売を新たにすることはできない(26@)。
民事留置権に基づき既に開始されていた競売の手続は、再生手続の開始により当然に中止され(39@)、再生計画の認可決定の確定により失効(184条)。
■別除権の対抗要件 
民事再生法で別除権として認められるためには、その基礎となる担保権が、他の再生債権者に対抗しうるものでなければならない。
再生手続開始後は、再生手続開始前の原因による登記・登録は、再生手続との関係では、原則としてその効力を主張することができない(45条)。

再生手続開始決定時に対抗要件を備えていなかった担保権は、原則としてその後も対抗要件を備えることはできず、再生手続においては、別除権としての効力を否定される。
債権譲渡や質権設定の通知も、再生手続開始決定後は、45条の趣旨により原則として認められない。
■別除権の行使 
別除権が再生手続によらないで行使できる
〜別除権の基礎となっている担保権本来の実行方法による行使を認める趣旨。
■別除権者の債権届出
別除権の行使により弁済を受けることができない債権の部分について再生債権者として権利行使をするためには、裁判所に再生債権の届出をすることが必要。
別除権者は予定不足額にについて、議決権を行使しうる(88条)が、異議があった場合には、裁判所が議決権額を決定。
不足額が確定⇒別除権者は、その部分について再生計画に基づき弁済を受けることができる(182条)。
別除権付再生債権 競売など担保権実行の結果、不足額が確定するのであるが、確定までに相当時間がかかるので、担保不足見込額をもって議決権額(法230G)、5000万円の上限額(法231A(2))及び最低弁済額(法231A(3)(4))の基準となる再生手続上の債権額として取り扱う。
過払金の評価 控除 @個人再生申立てのための相当額の弁護士費用、A過払金回収費用、B再生手続費用、Cやむを得ない生活費等の「有用の資」に充てていると認められる場合は、その額を受領額から控除可能。
未回収の場合、まだ回収していない過払金のうちから、個人再生申立てのための相当額の弁護士費用、過払金回収費用等の額を和解金額から控除することが可能。
(費用等の金額が判明している場合に限る。将来の生活費等に充てることを理由に和解金額から控除することは原則として不可。)
小規模個人再生における再生計画の不認可事由 小規模個人再生において再生計画案が可決された場合には、裁判所は、不認可事由が認められる場合を除いて、再生計画認可の決定をする。(法231@、法238による174@、202@の適用排除) 
一般の不認可事由(法174A) @再生手続または再生手続が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき。(1)
A再生計画が遂行される見込みがないとき(2)
B再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき(3)
C再生計画の決議が債権者一般の利益に反するとき(4)
住宅資金特別条項を定めた場合の不認可事由(法202A) @再生計画が遂行可能であると認めることができないとき(民再202A(2))
A再生債務者が住宅の所有権または住宅の用に供されている土地を住宅の所有のために使用する権利を失うこととなると見込まれるとき(民再202A(3))
小規模個人再生に固有の不認可事由(法231A) @再生債務者が将来において継続的または反復して収入をうる見込みがないとき(1) 
A無異議債権(民再230G第1かっこ書)の額及び評価済債権(同G第2かっこ書)の額の総額が5000万円を超えているとき(2)
B計画弁済総額が最低弁済基準額を下回るとき(3)(4)
C債権者一覧表の記載に反して再生計画に住宅資金特別条項の定めがないとき(5)
小規模個人再生再生計画案の決議 特徴 @書面決議(法230B)
A積極的に不同意の議決権行使をした者が一定数を超えない限り可決されるという、消極的同意制度(法230E)
給与所得者個人再生の場合、債権者からの意見聴取を受けるのみで、債権者の議決権行使手続きがなく、裁判所が認可決定するかどうか判断するという構造。
議決権者・議決権額 議決権者:無異議債権と評価済債権を有する届出債権者。
住宅資金特別条項のある再生計画において、住宅ローン債権者に議決権はないが(法201@)、意見聴取が行われる。(同A)
書面決議の方法・認可要件 書面による決議に付する旨の決定をした場合、議決権者に再生計画案及び再生計画案に同意しない者は裁判所の定める期間内に書面でその旨を回答すべきことを記した書面を送付。(法230C)
再生計画案に同意しない旨回答した議決権者が、
@議決権者の総数の半数に満たず、かつ、
Aその議決権の額が議決権の総額の2分の1を超えないとき
は、再生計画案の可決があったものとみなされる。(法230E)
保証人の場合の計画の履行 期限の利益を喪失していない場合 @主債務者が約定どおりに弁済している場合は、連帯保証人(保証人)が主たる債務者に先だって弁済する理由がない。
A弁済をしても、連帯保証人は主たる債務者に求償できる⇒求償に応じることができる限りは、かかる取扱いは迂回。

再生計画では、主たる債務者hが遅滞なく弁済を続けている間は再生計画に基づく弁済をせずに留保し、主たる債務者が弁済を怠り期限の利益を喪失する等の事実が生じたときにはじめて、開始時の債権額を基準に権利変更した金額を弁済する旨の定めをすることが許される。
期限の利益意を喪失している場合 保証契約等によって、連帯保証人について個人再生手続の申立てがあった場合等に主債務の期限の利益が喪失されるとの規定があり(和議の申立てが期限の利益喪失事由とされている場合も、同様と解される。)、あくまで債権者が期限の利益の喪失を主張する場合は、再生債務者は、再生計画に則り、保証債務を弁済せざるを得ない。
再生計画の変更 規定 民再法 第234条(再生計画の変更)
小規模個人再生においては、再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは、再生債務者の申立てにより、再生計画で定められた債務の期限を延長することができる。この場合においては、変更後の債務の最終の期限は、再生計画で定められた債務の最終の期限から二年を超えない範囲で定めなければならない。
民再法 第244条(小規模個人再生の規定の準用)
第二百二十一条第三項から第五項まで、第二百二十二条から第二百二十九条まで、第二百三十二条から第二百三十五条まで及び第二百三十七条第二項の規定は、給与所得者等再生について準用する。
要件 やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となった時に認められる。(法234@、244)

「やむを得ない事由」:
当初の再生計画を作成する段階では予測できず、再生債務者のコントロールできない事情であることを要する。

再生債務者が自己都合で退職したような場合や、当初の再生計画の作成時に収入の減少が予測されていた場合は、この要件に該当しない

「著しく困難になったとき」:
債務者は、生活を切りつめて、3年から5年にわたって弁済を行うため、計画遂行に多少の困難が生じることはもともと予定されていた。⇒単に困難になったとか、少しくらい苦しくなったという程度では、この要件に該当しない。

再生計画の変更をなし得る場合の具体例:
再生計画を作成した時以降に給与の引き下げが行われた場合など。

尚、住宅資金特別条項の変更は不可。
作成方法 総論 再生計画作成の場合と同様の制約(法229条2項、244条):
@3カ月に1回異常弁済期が到来
A弁済方法において、、再生債権者間で平等であること(少額債権の定め等を除く)
●  再生計画の変更場合に特有の制約(法234条、244条)
@変更内容は、債務の期限の延長に限られる。
A延長期間は、変更前の再生計画を基礎として2年以内。

当初の再生計画+2年
←それ以上に、いたずらに長期化しては小口の債権を管理する債権者も煩に堪えない。

解釈として、2年の範囲内であれば、2回以上の延長も認める趣旨。
⇒最初に1年だけ延長したところ、再度事態が悪化したので2度目の変更でもう1年延長することも妨げない。
●再生変更経緯格の認可確定日以後の支払割合と通算期間を変更する方法
●変更前の計画案の各回の支払割合と通算期間を変更する方法
ア:再生変更計画認可k確定の時点で、変更前の再生計画に基づき支払を行った額が、変更計画に基づいて支払っていなければならない額を上回る場合
⇒充当関係の調整は当事者間での処理に委ねられ、申立代理人から各債権者に対して周知する必要。
イ:アとは逆に、再生計画認可確定時において、再生計画に基づき支払っていなければならない額が、(それまでの遅滞のため)変更前の再生計画に基づき支払済の額を上回る場合
⇒遅くとも再生変更計画認可確定後の最初の弁済期までには、遅滞分を含めて既に履行期の到来した部分を弁済しておく必要あり
いずれにしても、再生変更計画案・弁済計画表に記載した支払金額と、実際に支払う金額との間にずれが出る
⇒申立代理人において、再生変更計画案及び再生変更計画による弁済計画表に加え、従前の支払金額及び今後の支払金額及び内容を記載した「再生変更計画による弁済充当表」を作成し、各債権者に送付し、内容の説明を行うべき。
申立 規定 規則 第132条(再生計画変更の申立ての方式等・法第二百三十四条)
法第二百三十四条(再生計画の変更)第一項の規定による再生計画の変更の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 再生事件の表示
二 申立人の氏名及び住所並びに代理人の氏名及び住所
三 再生計画の変更を求める旨及びその理由
2 第九十四条(再生計画変更の申立ての方式等)第二項の規定は前項の申立書について、同条第三項の規定は法第二百三十四条第一項の規定による再生計画の変更の申立てについて準用する。
規則 第94条(再生計画変更の申立ての方式等・法第百八十七条)
再生計画の変更の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 申立人の氏名又は名称及び住所並びに代理人の氏名及び住所
二 再生計画の変更を求める旨及びその理由
2 再生計画の変更を求める理由においては、変更を必要とする事由を具体的に記載しなければならない。
3 再生計画の変更の申立てをするときは、同時に、変更計画案を提出しなければならない。
4 法第百八十七条(再生計画の変更)第二項本文に規定する場合には、この規則中の再生計画案の提出があった場合の手続に関する規定を準用する。
説明 所定の事項(規則132条1項2項、94条2項)を記載した申立書
再生変更計画案
疎明資料(@家計収支表(直近2カ月分)、A収入の変動を生じた前後の給与明細等)
申立後 規定 民再法 第234条(再生計画の変更)
2 前項の規定により再生計画の変更の申立てがあった場合には、再生計画案の提出があった場合の手続に関する規定を準用する。
説明 再生計画の変更には、再生計画案の提出があった場合の手続に関する規定が準用(法234条2項)。
小規模⇒書面決議(法230条)
給与所得者⇒意見聴取(法240条)
ハードシップ免責 ★ハードシップ免責
規定 民事再生法 第235条(計画遂行が極めて困難となった場合の免責)
再生債務者がその責めに帰することができない事由により再生計画を遂行することが極めて困難となり、かつ、次の各号のいずれにも該当する場合には、裁判所は、再生債務者の申立てにより、免責の決定をすることができる
一 第二百三十二条第二項の規定により変更された後の各基準債権及び同条第三項ただし書に規定する各再生債権に対してその四分の三以上の額の弁済を終えていること。
二 第二百二十九条第三項各号に掲げる請求権(第二百三十二条第四項(同条第五項ただし書において準用する場合を含む。)の規定により第百五十六条の一般的基準に従って弁済される部分に限る。)に対してその四分の三以上の額の弁済を終えていること。
三 免責の決定をすることが再生債権者の一般の利益に反するものでないこと。
四 前条の規定による再生計画の変更をすることが極めて困難であること。
・・・・・.
民事再生規則 第133条(計画遂行が極めて困難となった場合の免責の申立ての方式・法第二百三十五条)
法第二百三十五条(計画遂行が極めて困難となった場合の免責)第一項の規定による免責の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 再生事件の表示
二 申立人の氏名及び住所並びに代理人の氏名及び住所
三 免責を求める旨及びその理由
2 免責を求める理由においては、法第二百三十五条第一項に規定する要件に該当する事実を具体的に記載しなければならない。
3 第一項の申立書には、前項に規定する事実を証する書面を添付するものとする。
趣旨 支払困難⇒計画の取消し、そして破産へ移行(250条) しかないのでは厳格にすぎる。

途中まで弁済を続けた努力を評価する意味で、アメリカ連邦倒産法第13章がもつハードシップ免責の考え方を導入。
要件 規定

再生債務者がその責めに帰することができない事由により再生計画を遂行することが極めて困難となり、かつ、次の各号のいずれにも該当する場合には、裁判所は、再生債務者の申立てにより、免責の決定をすることができる。(法235条、244条)

1 再生計画によって変更された後の劣後かされない各再生債権に対して、それぞれ4分の3以上の額の弁済を終えている。
2 免責の決定をることが再生債権者の一般の利益に反しない。(再生計画の認可決定時に破産が行なわれたとした場合の配当総額以上の弁済を終えている。)(清算価値保障原則
3 再生計画の変更も極めて困難。 

●計画遂行困難の原因 
「責めに帰することができない事由により再生計画を遂行することが極めて困難」となったこと。

かかる困難が債務者の責めに帰することができない、つまりその者のコントロールが及ばない事由による場合に限定
そうした事由によって、計画の遂行が「極めて困難」計画変更の要件である「著しく困」とうい表現(法234条)よりも困難の度合いが深刻な場合を意味。

モラル・ハザードを回避。
効果 履行した部分を除いて、再生債権者に対する債務の全部についてのその責任を免れる。(法235E)
ハードシップ免責の効果は住宅ローン特約付き個人再生での住宅ローンにも及ぶ。(裁判所の統一見解ではなく解釈に委ねられている)
非減免債権(法229B各号)および再生手続開始前の罰金等は、免責の対象から除外される(法235E)。
別除権者の担保権、再生債務者の保証人その他再生債務者とともに債務を負担する者に対して再生債権者が有する権利および再生債務者以外の者が再生債権者のために提供した担保には、免責の効果が及ばない(法235F)
ハードシップ免責をえたことによって、その基礎となる再生計画認可決定日の日から7年以内は、給与所得者等再生を求めることができない(法239D(2)ロ)、破産免責を受けることができない(法252@(10)ハ)
再度の申立 1度目の再生手続が終了していないと、再生手続の再申立てはできない。(法39@)

1度目の再生手続について裁判所が廃止決定(法237@)をして、確定(法9)した後に、申し立てる。
小規模個人再生 再申立てについて制限はなく、再度の申立ては可能。
給与所得者個人再生の期間制限(法239D(2)) 前回:給与所得者個人再生
制限期間の起算日:再生計画認可決定確定日
期間:7年
前回:小規模個人再生+ハードシップ免責
制限期間の起算日:再生計画認可決定確定日
期間:7年
前回:破産による免責
期間制限の起算日:免責決定確定日
期間:7年
個人再生委員 規定 第223条(個人再生委員)
裁判所は、第二百二十一条第二項の申述があった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、一人又は数人の個人再生委員を選任することができる。ただし、第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価の申立てがあったときは、当該申立てを不適法として却下する場合を除き、個人再生委員の選任をしなければならない。
2 裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、個人再生委員の職務として、次に掲げる事項の一又は二以上を指定するものとする。
一 再生債務者の財産及び収入の状況を調査すること。
二 第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価に関し裁判所を補助すること。
三 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告をすること。
3 裁判所は、第一項の規定による決定において、前項第一号に掲げる事項を個人再生委員の職務として指定する場合には、裁判所に対して調査の結果の報告をすべき期間をも定めなければならない。
4 裁判所は、第一項の規定による決定を変更し、又は取り消すことができる。
5 第一項及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
7 第五項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
8 第二項第一号に掲げる事項を職務として指定された個人再生委員は、再生債務者又はその法定代理人に対し、再生債務者の財産及び収入の状況につき報告を求め、再生債務者の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
9 個人再生委員は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。
10 第五十四条第三項、第五十七条、第五十八条、第六十条及び第六十一条第二項から第四項までの規定は、個人再生委員について準用する。第244条(小規模個人再生の規定の準用)
第二百二十一条第三項から第五項まで、第二百二十二条から第二百二十九条まで、第二百三十二条から第二百三十五条まで及び第二百三十七条第二項の規定は、給与所得者等再生について準用する。
第221条(手続開始の要件等)
個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。
2 小規模個人再生を行うことを求める旨の申述は、再生手続開始の申立ての際(債権者が再生手続開始の申立てをした場合にあっては、再生手続開始の決定があるまで)にしなければならない。
役割 @債務者の財産及び収入の状況の調査
A債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告
B関係者間の争いのある再生債権の評価に関する裁判所の補助
のうち、裁判所が指定した職務を行う。
Bについては、再生債権の評価の申立があった場合に必要的に選任される。(法223@但書)
@Aは必要がある限り選任。
運用 弁護士代理の事件で、負債総額が3000万円以下であるか、負債総額が3000万円を超えた場合でも、当該債務が事業によるものではない場合には、原則として個人再生委員を選任しない。
住宅ローンと保証債務を除いた負債額が3000万円を超える事業者が申立てをした場合には、代理人申立て、本人申立ての別を問わず、個人再生委員を選任して財産及び収入の状況の調査を行う。
⇒申立時に、個人再生委員選任費用相当額(30万円)の予納金の納付が必要。

給与所得者個人再生
給与所得者個人再生とは @再生債権者の決議なしに裁判所が再生計画を認可できる(法240、241)。
⇒再生計画が認可される見込みが大きい。
A安定した収入が得られる見込みがある者しか申立てができない。(法239@)
B可処分所得の2年分以上の金額を返済総額とする再生計画であることが必要。(法241A(7))
利用適格 概要 小規模個人再生:
@「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」こと(法221@)
給与所得者等再生:
「A給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、かつ、Bその額の変動幅が小さいと見込まれる」こと(法239@)
@ 「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」

弁済原資である収入が3年ないし5年にわたり少なくとも3か月に1度の割合で収入が得られる見込み。
年1度の収入であっても、それを留保することにより3か月に1度の割合で弁済が可能であれば、問題はない。
A 「給与又はこれに類する定期的な収入」

給与など雇用契約に基づく労働の対価に限るものではなく、これに類する定期的な収入には、年金や恩給による収入、さらには定期的に受領する家賃収入なども含まれる。
B 「その額の変動幅が小さいと見込まれるもの」

再生債務者の過去及び現在の収入の状況、経済情勢などを総合的に考慮して判断。
具体的には、収入の変動に関して計画弁済総額の算定との関連で、再生計画案の提出前2年間に5分の1以上の変動を生じた場合の規定(法241A(7)イ)がある⇒年収換算で5分の1を超えない程度の変動であれば、原則的にはこの要件を満たす
第241条(再生計画の認可又は不認可の決定等)
2 裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、再生計画不認可の決定をする。
七 計画弁済総額が、次のイからハまでに掲げる区分に応じ、それぞれイからハまでに定める額から再生債務者及びその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要な一年分の費用の額を控除した額に二を乗じた額以上の額であると認めることができないとき。
イ 再生債務者の給与又はこれに類する定期的な収入の額について、再生計画案の提出前二年間の途中で再就職その他の年収について五分の一以上の変動を生ずべき事由が生じた場合 当該事由が生じた時から再生計画案を提出した時までの間の収入の合計額からこれに対する所得税、個人の道府県民税又は都民税及び個人の市町村民税又は特別区民税並びに所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第七十四条第二項に規定する社会保険料(ロ及びハにおいて「所得税等」という。)に相当する額を控除した額を一年間当たりの額に換算した額
専業主婦の場合 全く収入を得ていない⇒要件を欠く。
アルバイト、パートタイマーによって、何らかの収入を得ている場合⇒小規模個人再生の利用を認めて良い。
年収を基準とした場合に、収入の変動幅が小さいと見込まれる場合⇒給与所得者等個人再生の利用も認められる。
小規模個人再生との選択 原則 小規模個人再生の選択をまず検討。
問題が残る事案では、給与所得者再生も考える。
小規模個人再生を選択して再生計画が否決された後に、改めて給与所得者等再生の申立てを行うことも可能。
独身者の場合 家族あり⇒必要とされる生活費が高く設定される。
家族のない独身者⇒必要と認定される生活費が低くなり、可処分所得がかなり高額となる。
⇒小規模を選択すべき。
可処分所得の計算 手取収入額の算出 @過去2年間の収入合計額
A所得税額
B住民税額
C社会保険料(健康保険料、介護保険料)額
申立人の過去の2年分の源泉徴収票と課税証明書(市・県民税課税台帳記載事項証明書)又は納税証明書から記載。
最低生活費の額の算出 D個人別生活費の額
E世帯別生活費の額
F登記特別生活費の額
G住居費の額
H勤労必要経費の額

住宅資金特別条項
住宅資金特別条項を定めることができる場合 要件 @「住宅」の建設等に必要な資金の貸付けであること。
A「住宅」に抵当権が設定されていること。
B「住宅」とは、個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、その床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるもの。
C住宅資金貸付債権を担保するための抵当権以外の担保がついていないこと。
住宅ローンが「住宅資金貸付債権」(法196条3号)であり、これを担保する抵当権の目的となっている住居が「住宅」(法196条1項)に該当する場合 「住宅」:個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、その床面積の二分の一以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるものをいう。ただし、当該建物が二以上ある場合には、これらの建物のうち、再生債務者が主として居住の用に供する一の建物に限る。
「住宅資金貸付債権」:住宅の建設若しくは購入に必要な資金(住宅の用に供する土地又は借地権の取得に必要な資金を含む。)又は住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る分割払の定めのある再生債権であって、当該債権又は当該債権に係る債務の保証人(保証を業とする者に限る。以下「保証会社」という。)の主たる債務者に対する求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されているものをいう。
住居兼店舗の場合:
規則 第102条(再生計画案と併せて提出すべき書面等・法第二百条)
再生債務者は、住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出するときは、次に掲げる書面を併せて提出するものとする。
五 再生債務者の住宅において自己の居住の用に供されない部分があるときは、当該住宅のうち専ら再生債務者の居住の用に供される部分及び当該部分の床面積を明らかにする書面
住宅資金貸付債権

「住宅の建設若しくは購入に必要な資金(住宅の用に供する土地又は借地権の取得に必要な資金を含む。)又は住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る分割払の定めのある再生債権であって、当該債権又は当該債権に係る債務の保証人(保証を業とする者に限る。以下「保証会社」という。)の主たる債務者に対する求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されているものをいう。」(法196条3号)

以下の要件を全て満たす債権
@以下のいずれかの行為に必要な資金の貸付債権
・住宅の建設
・住宅の購入
・住宅の用に供する土地の取得
・住宅の用に供する借地権の取得
・住宅の改良
住宅ローンの借換えが行われて新たな住宅ローンが従前の住宅ローンと入れ替わった場合、新たな住宅ローンは、住宅資金貸付債権に当たる。

A分割払いの定めのある再生債権であること

B以下のいずれかの債権を担保するための抵当権が住宅に設定されていること
・当該貸付債権
・当該貸付債権に係る債務の保証人である保証会社の主たる債務者に対する求償権 

諸費用ローンと住宅資金貸付債権
不動産取得時には、仲介手数料、登記手続費用(司法書士報酬)、各種税金(登録免許税、印紙税及び消費税)の支払費用等が必要となり、かかる諸費用の支払にあてるため、諸費用ローンを組んでいる事案。

住宅ローンの中に他の用途にあてた資金が混在していても、その割合が少ないときには、全体について住宅資金貸付債権性が認められる場合があることとの均衡上、諸費用ローンの額と使途によっては、住宅資金特別条項を設けることが許される場合がある。

諸費用ローンの抵当権が住宅に設定されている場合、その額と使途を総合考慮して、住宅資金特別条項を設けることが許されるかを審査する。

使途が不動産取得行為等に直接必要な経費の範囲内であれば、多少高額なローンであっても住宅資金貸付債権該当性を認めている場合が多い。
諸費用ローンの主要部分の使途が不動産取得行為等に直接必要とはいえない家具購入費、買替前の住宅ローン残債の返還等である場合には、住宅資金貸付再建該当性が否定される。
抵当権設定仮登記 規定 不動産登記法 第105条(仮登記) 
仮登記は、次に掲げる場合にすることができる。
一 第三条各号に掲げる権利について保存等があった場合において、当該保存等に係る登記の申請をするために登記所に対し提供しなければならない情報であって、第二十五条第九号の申請情報と併せて提供しなければならないものとされているもののうち法務省令で定めるものを提供することができないとき。
二 第三条各号に掲げる権利の設定、移転、変更又は消滅に関して請求権(始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含む。)を保全しようとするとき。
説明 設定された仮登記が別除権となり、実行される可能性がある場合は民再法198条1項に抵触。
●1号仮登記(法105条1号)

既に物権変動が生じているが、登記識別情報または登記済証がないため、仮登記となっているもの⇒仮登記権利者は登記識別情報等が整えば、いつでも本登記請求ができる⇒1号仮登記は別除権の設定と同視できる(大判大15.6.29)。
●2号仮登記(法105条2号)
始期や停止条件が整えば、仮登記権利者は本登記請求が可能であり、その仮登記が再生手続開始決定前に設定されている以上、仮登記権利者は後順位の別除権を取得することになる(最高裁昭和42.8.25)。
⇒1号、2号仮登記ともに民再法198条1項ただし書1文に該当し、住宅資金特別条項は利用できない。
住宅資金特別条項を定めることができない場合  再生債権が住宅資金貸付債権を有する者に法定代位(民500条)した再生債権者(保証会社を除く)が当該代位により取得したものである場合。(法198条1項本文かっこ書)
←保証人等が保証債務を履行することにより代位取得(民500条)した住宅資金貸付債権について住宅資金特別条項による弁済期限の繰延べを認めると、保証人等の利益を不当に害するおそれがある。
住宅に住宅資金貸付債権を担保するための抵当権(根抵当権も含まれる。ただし、被担保債権に住宅資金貸付債権以外の債権が含まれていない場合に限られる。)以外に法53条1項に規定する担保権が存する場合。(法198条1項但書) 
←住宅に設定されている住宅資金貸付債権を担保するための抵当権以外の担保権は、別除権として再生手続外で実行することができる(法53条2項)から、この別除権が実行されたら、再生債務者は住宅を失ってしまい、住宅資金特別条項を定める意味がなくなる。
住宅以外の不動産にも住宅資金貸付債権を担保するための抵当権が設定されている場合において、当該不動産に後順位の法53条1項に規定する担保権が存在する場合(法198条1項但書) 
←住宅以外の不動産に住宅資金貸付債権のための抵当権に遅れる後順位担保権者が存する場合、当該不動産について競売手続が行われると、後順位担保権者は住宅に設定された抵当権に代位する利益を有している(民392条2項)ので、このような場合に住宅資金特別条項を定めることができるとすると、当該後順位担保権者の利益を不当に害するおそれがある。
ペアローンの場合 意義 同じ金融機関から親のローン部分と子のローン部分に分けて(親子ペアローン)、あるいは夫のローン部分と妻のローン部分に分けて(夫婦ペアローン)、2本立ての金銭消費貸借契約を締結して、親子あるいは夫婦が共同して住宅購入資金を調達し、共有不動産である住宅(土地・建物)の全体にそれぞれを債務者とする抵当権を設定するローン。
問題点 例えば、夫が申立をする場合、妻の債務を担保するために、自己の共有持分に抵当権を設定していることになる。
⇒他人の債務を担保するために自己所有住宅(共有部分)に抵当権を設定していることを理由にして住宅資金特別条項の適用を認めるべきではないのでは?
大阪地裁の運用 法198条1項ただし書の趣旨は、当該担保権が実行されることにより住宅資金特別条項が無意味になることの回避にある。

同一家計を営んでいる夫婦あるいは親子のペアローンの場合には、@同一家計を営んでいる者が、いずれも個人再生手続の申立てをし(必ずしも同時申立の必要はない。)、Aいずれも住宅資金特別条項を定める旨の申述をすること、の2要件を満たすことを原則として、住宅資金特別条項の利用を認めて良い。 
不動産が差押えられた場合 第202条(住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可又は不認可の決定等)
2 裁判所は、住宅資金特別条項を定めた再生計画案が可決された場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、再生計画不認可の決定をする。
三 再生債務者が住宅の所有権又は住宅の用に供されている土地を住宅の所有のために使用する権利を失うこととなると見込まれるとき。

再生債務者が住宅の所有権等を失うと見込まれる場合には住宅資金特別条項を定めた再生計画は認可されない。
but
申立前になされた差押え等の手続きは、開始決定により中止されており、再生計画案が認可されれば、効力を失う
⇒差押え等がなされても住宅の所有権等を失うことは見込まれない。
申立前に差押え等がなされた場合でも住宅資金特別条項は利用できる
住宅資金特別条項の内容(法199) 規定  民事再生法 第199条(住宅資金特別条項の内容)

住宅資金特別条項においては、次項又は第三項に規定する場合を除き、次の各号に掲げる債権について、それぞれ当該各号に定める内容を定める。

一 再生計画認可の決定の確定時までに弁済期が到来する住宅資金貸付債権の元本(再生債務者が期限の利益を喪失しなかったとすれば弁済期が到来しないものを除く。)及びこれに対する再生計画認可の決定の確定後の住宅約定利息(住宅資金貸付契約において定められた約定利率による利息をいう。以下この条において同じ。)並びに再生計画認可の決定の確定時までに生ずる住宅資金貸付債権の利息及び不履行による損害賠償 
その全額を、再生計画(住宅資金特別条項を除く。)で定める弁済期間(当該期間が五年を超える場合にあっては、再生計画認可の決定の確定から五年。第三項において「一般弁済期間」という。)内に支払うこと。

二 再生計画認可の決定の確定時までに弁済期が到来しない住宅資金貸付債権の元本(再生債務者が期限の利益を喪失しなかったとすれば弁済期が到来しないものを含む。)及びこれに対する再生計画認可の決定の確定後の住宅約定利息 
住宅資金貸付契約における債務の不履行がない場合についての弁済の時期及び額に関する約定に従って支払うこと。

2 前項の規定による住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがない場合には、住宅資金特別条項において、住宅資金貸付債権に係る債務の弁済期を住宅資金貸付契約において定められた最終の弁済期(以下この項及び第四項において「約定最終弁済期」という。)から後の日に定めることができる。この場合における権利の変更の内容は、次に掲げる要件のすべてを具備するものでなければならない。
一 次に掲げる債権について、その全額を支払うものであること。
イ 住宅資金貸付債権の元本及びこれに対する再生計画認可の決定の確定後の住宅約定利息
ロ 再生計画認可の決定の確定時までに生ずる住宅資金貸付債権の利息及び不履行による損害賠償
二 住宅資金特別条項による変更後の最終の弁済期約定最終弁済期から十年を超えず、かつ、住宅資金特別条項による変更後の最終の弁済期における再生債務者の年齢が七十歳を超えないものであること。
三 第一号イに掲げる債権については、一定の基準により住宅資金貸付契約における弁済期と弁済期との間隔及び各弁済期における弁済額が定められている場合には、当該基準におおむね沿うものであること。

3 前項の規定による住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがない場合には、一般弁済期間の範囲内で定める期間(以下この項において「元本猶予期間」という。)中は、住宅資金貸付債権の元本の一部及び住宅資金貸付債権の元本に対する元本猶予期間中の住宅約定利息のみを支払うものとすることができる。この場合における権利の変更の内容は、次に掲げる要件のすべてを具備するものでなければならない。
一 前項第一号及び第二号に掲げる要件があること。
二 前項第一号イに掲げる債権についての元本猶予期間を経過した後の弁済期及び弁済額の定めについては、一定の基準により住宅資金貸付契約における弁済期と弁済期との間隔及び各弁済期における弁済額が定められている場合には、当該基準におおむね沿うものであること。

4 住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者の同意がある場合には、前三項の規定にかかわらず、約定最終弁済期から十年を超えて住宅資金貸付債権に係る債務の期限を猶予することその他前三項に規定する変更以外の変更をすることを内容とする住宅資金特別条項を定めることができる。
5 住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者と他の再生債権者との間については第百五十五条第一項の規定を、住宅資金特別条項については同条第三項の規定を、住宅資金特別条項によって権利の変更を受ける者については第百六十条及び第百六十五条第二項の規定を適用しない。
共通 権利の変更によって期限の利益の回復や弁済期間の延長はできるが、原則として住宅ローンの元本弁済総額は変わらず、利息や損害金も免除にならない。
債権者の同意があれば利息や損害金の免除を受けた条項を定めることは可能。
以下での用語 A:認可確定時までに弁済期が到来する元本
B:Aに対する認可確定時までの利息・損害金
C:Aに対する認可確定後の利息
D:認可確定後に弁済期が到来する元本
E:Dに対する認可確定後の利息
期限の利益回復型(@)  説明 延滞してしまった分の元本・利息・損害金については期限の利益を回復させて、一般弁済期間内に完済することとし、その他は当初の住宅資金貸付契約どおりの弁済を続ける。
「正常返済型」を含む。
申立前にリスケを受けて、リスケ後の新たな約定で弁済を継続する場合も、「正常返済型」
条項例 A:住宅資金貸付債権の弁済については、再生計画認可決定の確定した日以降、原契約書の各条項に従い支払うものとする。
B:
i.再生計画認可決定の各の時までに弁済期が到来する元本に関する条項
再生計画認可決定の確定した日の属する月の翌月を第1回目として、以降3年間は、毎月末日限り、各36分の1の割合による金額に、約定利率による利息を付した金額を弁済する(合計36回)
ii.再生計画認可決定の確定の時までに生ずる利息・損害金に関する条項
再生計画認可決定の確定した日の属する月の翌日を第1回目として、以降3年間は、毎月末日限り、各36分の1の割合による金額を弁済する(合計36回)
iii.再生計画認可決定の確定の時までに弁済期が到来しない元本及びこれに対する約定利率による利息に関する条項
再生計画認可決定の確定した日以降、原契約書の各条項に従い支払う。
リスケジュール型(A) 説明 @の原則的な条項を定めた再生計画の「認可の見込みがない場合=履行可能性がない場合」に定められる2次的な条項。
特別条項で支払う金額は、元本・利息・損害金のすべて。
延長される期間は「約定最終弁済期から10年を超えず」かつ「変更後の最終の弁済期における再生債務者の年齢が70歳を超えないものであること」
住宅資金貸付債権の元本(A+D)とこれに対する認可確定後の利息(C+E)の弁済については、「一定の基準により住宅資金貸付契約における弁済期と弁済期との間隔及び各弁済期における弁済期が定められている場合には、当該基準におむね沿うこと」が必要。
「一定の基準」は、「弁済期と弁済期との間隔」については月賦払いや半年賦払い、「各弁済期における弁済額」については元利均等払いや元金均等払いなど。
条項例 i.再生計画認可決定の確定の時までに弁済期が到来する元本に関する条項
下記 iii に加算し、iii に従って弁済する。

ii.再生計画認可決定の確定の時までに生ずる利息・損害金に関する条項
ア 30年の期間は、総額の80%に相当する金員を、毎月末日限り合計360回に分割して弁済する(月賦分)。
イ 上記に加え、総額の20%に相当する金員を、毎7月末日及び12月末日限り合計60回に分割して弁済する(半年賦分)

iii.再生計画認可決定の確定の時までに弁済期が到来しない元本及びこれに対する約定利率による利息に関する条項
ア 30年の期間は、元本総額の80%に相当する金員に約定利率による利息を付して元利均等方式により計算した金額を、毎月末日限り合計360回に分割して弁済する(月賦分)。
イ 上記に加え、元本総額の20%に相当する金員に約定利率による利息を付して元利均等方式により計算した金額を、毎7月末日及び12月末日限り合計60回に分割して弁済する(半年賦分)。
元本猶予期間併用型(B) 説明 Aの特別条項も履行できる見込みがない場合
「一般弁済期間」の間は弁済資金を主として一般再生債権の弁済に充て、一般再生債権の計画弁済が完了した後にもっぱら住宅資金貸付債権への弁済を行う。
弁済期間の延長とともに、一定期間(元本猶予期間)は、各弁済期に支払う元本の一部を減額して弁済することを想定。全額支払わないことは想定していない。

元本全額据置きまで認めると、住宅資金貸付債権者の立場があまりに弱くなる。
特別条項で支払う金額は、元本・利息・損害金のすべて。
延長される期間もAと同様。
一般弁済期間内で定める「元本猶予期間」中も、わずかでも元本の一部は弁済しなければならず、また、元本猶予期間中の利息は必ず支払わなければならない。
元本猶予期間経過後に住宅資金貸付債権の元本(A+D)とこれに対する認可決定確定後の住宅約定利息(C+E)を支払うことになるが、この弁済については、「一定の基準により住宅資金貸付契約における弁済期と弁済期との間隔及び各弁済期における弁済期が定められている場合には、当該基準におむね沿うこと」が必要。
条項例 住宅資金貸付債権の弁済については、再生計画認可決定の確定した日から、以下のとおりとする。
下記以外は、原契約書の条項に従うものとする。
(1) 3年間、元金の一部の支払を猶予する。
(2) 原契約書の最終の返済日を5年間延長する。
(3) 再生計画認可決定の確定した日までに弁済期が到来する元本と再生計画認可決定の確定した日までに、弁済期が到来しない元金の合計額及びこれに対する再生計画認可決定の確定後の利息を上記(1)で延長した後の残返済期間で割賦償還する。
(4) 再生計画認可決定の確定した日までに生ずる利息及び損害金の合計額を上記(1)で延長した後の残返済期間で返済する。
(5) 再生計画に基づく返済は、再生計画認可決定の確定日の翌月の応答日以降最初に到来する、原契約に定める返済日からとする。
同意型(C) 債権者の同意があれば、@ないしB型以外の内容の住特条項を定めることができる。
同意があれば、弁済期間をさらに伸張したり、利率を軽減したり、損害金の利率を利息の利率まで減額することが可能。
元本の減額も可能。
ex.
一定期間は元本の一部(又は全部)の猶予を受け、当該猶予期間が経過後は、猶予を受けた金額を毎月の弁済額に「上乗せして弁済額を増額させるものの、当初に予定された約定弁済期間内で完済する。(段階的に弁済額が増額する「ステップ償還」)
巻戻し 制度 住宅資金特別条項は、保証人が保証債務を履行することにより代位取得した住宅資金貸付債権を対象として定めることはできないのが原則。(法198@)
例外として、保証会社が保証人である場合には、代位弁済がされた後も、住宅資金特別条項を定めることができる。(法198A) 
当該住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の決定が確定したときは、当該保証債務の履行はなかったものとみなす。(巻戻し。法204@)
申立期限 保証債務の全部を履行した日から6か月を経過する日までの間再生手続開始の申立てをする必要。(法198A) 
個人再生の申立てをする際には、代位弁済により保証債務が消滅した日を明らかにする書面を併せて提出すべき。(規則115@、102@(6))
競売中止命令 再生手続開始の申立てがあった場合において、住宅金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると認めるときは、再生債務者の申立てにより、相当の期間を定めて、住宅又は再生債務者が有する住宅の敷地に設定されている抵当権の実行の中止を命じることができる。(法197@)

申立てから再生計画認可決定に至るまでに住宅が競落されると、住宅資金特別条項を利用する余地がなくなる。
抵当権実行の中止命令を行うに当たっては、競売申立人の意見を聴取した上でしなければならない。(法197A、31A)
裁判所が定める「相当の期間」は、再生計画の認可決定までに要するであろう期間を考慮して定める。(実務上は3か月ないし4か月)
中止命令の裁判は、「執行停止文書」(民執183@(7))となり、再生債務者は上記命令の謄本を執行裁判所に提出して執行の停止を求める。裁判所の定めた期間が経過すると当然に失効し、競売手続は再度進行。
競売費用の取扱い 住宅資金特別条項は、住宅資金貸付債権に関する変更の定めであり、そもそも競売費用は、住宅資金貸付債権に該当しないので、条項に競売費用に関する定めを置くことはできない。
競売費用は、執行手続が取消や取下げ等により終了した場合、それまでの手続及びその準備に要した費用については、結局必要であったものではないことに帰し、競売申立人の負担に帰する。(香川「注釈民事執行法(1)」p722)
→手続外で弁済を受け得るものとする根拠はない。
債権者一覧表・条項等 債権者一覧表の提出、住宅ローン債権者との協議及び再生計画案の提出について、住宅資金特別条項は、巻戻しの効果により保証債務の弁済がなかったものとみなされた後の歳け者、すなわち、元の住宅ローン債権者を対象として定めることになる。
「巻戻し」後の当事者間の法律関係 ●住宅ローン債権者と保証会社との関係
@保証債務が履行されたことによって消滅した当該保証債務が復活。
A保証会社は、保証債務の履行として交付した金銭等につき、従前の住宅ローン債権者に体位sて、不当利得返還請求権を有する。
●保証会社と再生債務者の関係
保証債務が履行されたことによって保証会社の取得した求償権が消滅し、保証会社は従前の委託を受けた保証人としての地位に戻る。
●住宅ローン債権者と再生債権者の関係
保証会社の代位弁済によりいったんは消滅していた住宅ローン債権が復活。
同時に、この住宅ローン債権は住宅資金特別条項の権利変更を受ける。
費用負担 費用 @競売費用
A移転登記の抹消に係る費用
B火災保険料
C保証料の増額
D代位弁済金に対する約定利息・遅延損害金
●費用負担・保証料の請求
巻戻しや競売中止命令の直接の効果として、競売費用や移転登記抹消費用、延長保証料、火災保険の費用が当然に再生債務者の負担とされることはない。
原則として住宅ローン債権者らがこれらの費用を負担。
再生債権者と住宅ローン債権者や保証会社との間の契約において費用負担に関する具体的な定めがされている場合には、再生債務者は契約条項に拘束され、これに従う。
●再生債務者が費用負担する場合の費用負担等の請求権の性質
@再生債権説
←住宅の建設又は購入に必要な資金等ではなく、住宅資金貸付債権には当たらない(法196(3))。

A再生債権にすぎないが、債務者負担の根拠が住宅資金貸付契約上の合意である場合には、住宅資金特別条項に取りこみ得る。

B費用負担等に関する請求権は、開始決定後の巻戻しやリスケジュールなどによって発生するもの⇒再生債権ではなく、民事再生法119条5号又は7号の共益債権に当たる⇒随時弁済の対象となるので(法121@)、再生計画の履行可能性に影響を及ぼさないよう、支払方法や支払原資の確保に注意する必要。
●巻戻しと利息・損害金の負担
「巻戻し」⇒住宅ローン債権は、代位弁済時に遡及して保証会社から住宅ローン債権者に復帰⇒保証会社が取得した求償権も遡って消滅。

代位弁済後の利息・損害金債権者住宅ローン債権者が取得し、再生債務者に請求し得る。