シンプラル法律事務所
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論点整理(事業再編関係)

論点の整理です(随時増やしていく予定です。)

会社分割
会社分割 定義 1つの会社を2つ以上の会社に分けること。
活用方法 多角経営化した企業がその事業部門を独立させて経営効率化の向上を図る。
不採算部門・新製品開発部門などを独立させる。
他の会社の同じ部門と合弁企業を作る場合の手段。
事業の売却(買収)や企業の提携の手段。 
種類  @吸収

A新設
@吸収分割:「事業に関して有する権利義務の全部または一部」を既存の会社(承継会社)に承継させる。
分割とともに吸収合併の面を有する。
A新設分割:分割会社はその「事業に関して有する権利義務の全部または一部」を新しく会社を設立してそこ(新設会社)に承継させる。
@物的

A人的
@物的分割:会社分割の対価となる株式等が分割会社に交付される場合
A人的分割:会社分割の対価となる株式等が分割会社の株主に交付される場合
but
会社法は、対価をいったん分割会社に交付され、それが分割会社からその株主に剰余金の配当(金銭以外の場合は現物配当)されると構成⇒会社分割=物的分割
効果 吸収分割の場合は、承継会社の新株その他の財産が分割会社に交付される。
新設分割の場合は、新会社が設立し、分割会社は承継会社の株主(承継会社株式の交付を受けた場合)または新設会社の株主となる。
手続 @分割契約(吸収分割の場合)の締結または分割計画(新設分割の場合)の作成 吸収分割契約の法定決定事項(法758) @分割会社及び承継会社の商号及び住所
A承継会社が分割により分割会社から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務(分割会社及び承継会社の株式ならびに分割会社の新株予約権に係る義務を除く)に関する事項
B吸収分割により分割会社または承継会社の株式を承継会社に承継させるときは、当該株式に関する事項
C承継会社が吸収分割に際して分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部または一部に代わる金銭等を交付するときは、当該金銭等についての次の事項
イ 当該金銭等が承継会社の株式であるときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)またはその数の算定方法ならびに当該承継会社の資本金及び準備金の額に関する事項
ロ 当該金銭等が承継会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額またはその算定方法
ハ 当該金銭等が承継会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く)であるときは、当該予約権の内容及び数またはその算定方法
ニ 当該金銭等が承継会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのロの事項および当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハの事項
ホ 当該金銭等が承継会社の株式等以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額またはこれらの算定方法 
D承継会社が吸収分割に際して分割会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該承継会社の新株予約権を交付するときは、当該品k部予約権についての次の事項
EDの場合には、吸収分割契約新株予約権の新株予約権者に対するDの承継会社の新株予約権の割当てに関する事項
F吸収分割がその効力をしょうずる日(効力発生日)
G分割会社が効力発生日に次に掲げる行為をするときはその旨
イ 全部取得条項付種類株式(171@)の取得(取得対価が承継会社の株式(分割会社が吸収分割をする前から有するものを除き、承継会社の株式に準ずるものとして法務省令で定めるもの(規則178)を含む。ロにおいて同じ。)のみであるものに限る)
ロ 剰余金の配当(配当財源が承継会社の株式のみであるものに限る)
新設分割の分割計画(法763) @新設会社の目的、商号、本店の所在地および発行可能株式総数
A@のほか、新設会社の定款で定める事項
B新設会社の設立時取締役の氏名
C次の事項
イ 新設会社が会計参与設置会社である場合:新設会社の設立時会計参与の氏名または名称
ロ 新設会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款がある株式会社を含む)である場合:新設会社の設立時監査役の氏名
ハ 新設会社が会計っ監査人設置会社である場合:新設会社の設立時会計監査人の氏名または名称
D 新設会社が新設分割により分割会社から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務(分割会社の株式及び新株予約権に係る義務を除く)に関する事項
E 新設会社が新設分割に際して分割会社に対して交付するその事業に関する権利義務の全部または一部に代わる当該新設会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類および種類ごとの数)
F2以上の株式会社または合同会社が共同して新設分割するときは、分割会社に対するEの株式の割当てに関する事項
G新設会社が新設分割に際して分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部または一部に代わる当該新設会社の社債等を交付するときは、当該社債等について次の事項
イ 当該社債等が新設会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く)であるときは、当該社債の種類および種類ごとの各社債金額の合計額またはその算定方法
ロ 当該社債等が新設会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く)であるときは、当該新株予約権の内容および数またはその算定方法
ハ 当該社債等が新設会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのイの事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてロの事項
H Gの場合において、2以上の株式会社または合同会社が共同して新設分割をするときは、分割会社に対するGの社債等の割当てに関する事項
I 新設会社が新設分割に際して分割会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に変わる当該新設会社の新株予約権を交付するときは、当該新株予約権についての次の事項
イ 当該新設会社の新株予約権の交付を受ける分割会社の新株予約権の新株予約権者の有する新株予約権(新設分割計画新株予約権)の内容
ロ 新設分割契約新株予約権の新株予約権者に対して交付する新設会社の新株予約権の内容および数またはその算定方法
ハ 新設分割計画新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、新設会社が当該新株予約権付社債についての社債に係る債務を承継する旨ならびにその承継にかかる社債の種類および種類ごとの各社債の金額の合計額またはその算定方法
J Iの場合には、新設分割計画新株予約権の新株予約権者に対するIの新設会社の新株予約権の割当てに関する事項
K 分割会社が新設会社の成立の日に次に掲げる行為をするときは、その旨
イ 全部取得条項付種類株式(法171@)の取得(取得対価が新設会社の株式(これに準ずるものとして法務省令で定めるもの(規則179)を含む。ロにおいて同じ)のみであるものに限る)
ロ 剰余金の配当(配当財産が新設会社の株式のみであるものに限る)
A事前の開示
B株主総会による承認 効力発生日の前日までに、各当事会社において、株主総会の特別決議による承認を得る。
略式手続・簡易手続の場合は総会決議は不要。
反対株主や一定の新株予約権者には公正な価格での買取請求権が認められる。
C会社債権者異義手続 対象 @分割会社の債権者のうち会社分割後に分割会社に対し債務の履行を請求することができない債権者
A分割会社が分割対価を株主に分配する場合における分割会社のすべての債権者
B承継会社のすべての債権者
分割会社のすべての債権者は対象となっていない
←分割会社は承継会社から承継した財産に見合う対価を取得するので、資産に変動がない
分割会社・承継会社・新設会社は、債権者に対して、
@分割する旨、A他の当事会社(新設分割の場合は新設会社も)の商号と住所、B全当事会社の計算書類等、C異義のある債権者は一定の期間(1ヵ月以上)内に述べる旨を官報に公告し、かつ、「知れたる債権者」には各別に催告する。
官報公告に加えて日刊新聞紙による公告または電子公告をも行った場合には、知れている債権者に対する個別催告は不要(分割会社の不法行為債権者を除く)。
期限内に異義を述べなかった債権者は分割を承認したものとみなされる。
異義を述べた債権者には、弁済・担保提供・弁済用財産の信託のいずれかをしなければならないが、会社を分割してもその債権者を害するおそれがない場合は、そのような対応は不要。
各別の催告が必要な場合に個別催告を受けなかった債権者に対しては、分割契約または分割計画において債務者としなかった会社も、分割会社については分割の効力発生日の財産額、承継会社または新設会社は承継した財産額を限度として、弁済の責任を負う。(法759AB、764AB)
その限度で重畳的債務引受となる。
ex.
分割会社A社が100億円の財産を有し、そのうち80億円分の財産を剰余金配当を伴う分割により承継会社又は新設会社Bに移転した場合、個別催告を受けなかった債権者Cがあれば、分割契約または分割計画においてCに対する債務をA社が負担する旨の定めをしてもB社も80億円の限度で、Cに対する債務をB社が負担する旨の定めをしてもA社も20億円の限度で、責任を負う。
労働契約の特例 会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律:
承継対象の事業に主として従事している労働者の労働契約が分割契約または計画に記載されていない場合には、その労働者は異義を述べることができ、異義を述べたときはその労働契約は承継される(同法4)。
承継対象の事業に主として従事している労働者以外の労働者の労働契約が分割契約または計画に記載された場合には、その労働者は異義を述べることができ、異義を述べたときはその労働契約者承継されない。
企業担保権 会社の総財産が企業担保権の目的となっているときは、その会社は企業担保権が担保する債務を分割により承継させることができない。(企業担保法8の2) 
元本確定前の根抵当権 根抵当権者または債務者の分割があった場合に、それが担保する範囲などが明文で定められている。(民法398の10) 
D登記 吸収分割は、分割契約で定めた効力発生日に効力が発生(法759@)
新設分割は、新設会社の成立の日(設立登記の日)に効力発生(法764@)
E事後の開示

会社分割と事業全部(重要な一部)譲渡
会社分割(757条) 事業の全部(重要な一部)譲渡(476@(1)(2)) 
 対象 「事業に関して有する権利義務の全部又は一部」  「事業の全部」
「事業の重要な一部」 
権利義務の承継態様 包括的  個別的 
個別の承継手続の要否(各債権者の承諾の要否) 不要 
but債権者保護手続あり
必要 
承継会社・新設会社から分割会社への譲渡対価の支払の要否 不要  必要 
効力発生日に分割会社が承継会社・新設会社との関係で取得する権利等 承継会社が株式会社の場合、分割会社は、効力発生日に株主となる(759C(1)、764C) 特になし 

倒産状態において行われる会社分割
問題となる典型事例 @債務超過に陥ったA株式会社の事業と重要資産を、会社分割により新設されたB株式会社に移す。
移転される資産の価値にほぼ見合う額のA会社の債務も、B会社に移転する。
移される債務は、A会社にとって「大切にすべき」債権者に対する債務。
AA会社は、分割の対価として、B会社の全株式を取得する。
バランスシートの数字上は、株式の価値はほとんどない。
A会社は、この株式を第三者Cに、安値で譲渡する。
Bその後必要に応じ、A会社について破産や民事再生を申立てる。
(この申立代理人弁護士は、事前の会社分割には係わっていないことが多い。)
当面A会社について、申立てをせず放置する例も多い。
結局、事業はB会社において生き延びることができ、B会社に移った債権者(β)も弁済を受けられるが、A会社に残った債権者(α)は、ほとんど弁済を受けられない。
分割会社に対して債務の履行を請求できなくなる債権者 規定 会社法 第810条(債権者の異議)
次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める債権者は、消滅株式会社等に対し、新設合併等について異議を述べることができる。

二 新設分割をする場合 新設分割後新設分割株式会社に対して債務の履行(当該債務の保証人として新設分割設立会社と連帯して負担する保証債務の履行を含む。)を請求することができない新設分割株式会社の債権者(第七百六十三条第十二号又は第七百六十五条第一項第八号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、新設分割株式会社の債権者)

(吸収分割については同法789条1項2号)

会社分割手続に際して、会社分割後に分割会社に対して債務の履行を請求することができなくなる債権者(β)には、異議を述べる機会を付与してその保護を図る。
異議を述べられる債権者に関しては、会社が公告方法として定款で日刊新聞紙に掲載する方法または電子公告による方法を定め、これらの方法で会社分割の公告をした場合を除き、会社に知れている債権者は会社分割について格別の催告を受けることができる。
(不法行為に基づく債権を有する債権者に対しては各別の催告を省略できない。(会社法810条2項、3項、939条、吸収分割の場合につき同法789条2項3項))